光電効果をアニメーションで完璧に理解しよう
koden
作成日:2025/3/10
最終更新:2025/3/28

皆さんは光電効果を知っていますか?物理の歴史を語る上では欠かせない、とても重要な現象です。今回はアニメーションを通して光電効果について見ていきましょう!

アニメーション

金属

電子

光子

(色は振動数に依存)

光量
光の振動数

光電効果は、金属にうまく光(電磁波)を当てると電子が飛び出すという現象です。光からエネルギーを受け取った電子が、運動エネルギーを得て飛び出すという仕組みです。

光量と光の振動数を変えてみて、どんな条件の時に電子が飛び出すかを見てみましょう!

光電効果の特徴

光電効果という現象が19世紀に発見されてから、様々な実験を通してその性質が明らかになっていきました。その性質は以下のようです。

光電効果の特徴

  1. 一定の振動数(限界振動数)を超えた光を当てると、すぐに電子が放出される。逆に、それ以下の振動数の光をどれだけ当てても電子は放出されない。
  2. 振動数の大きい光を当てると、飛び出す電子の運動エネルギーの最大値が大きくなるが、飛び出す電子数は変わらない。
  3. 一定の振動数を超えた光について、光量を増やすと飛び出す電子の量が増えるが、その運動エネルギーは変わらない。

光は波?

当時、光の正体は波であるという考えが主流となっていました。光が波であることを裏付ける実験が数多く存在していたからです。

しかし、これらの特徴は光が波であるとすると、うまく説明ができませんでした。

特に、一定の振動数以上でないと電子が全く飛び出さない事実はとても不可解です。光が波だとしたら、振幅を増やせばエネルギーが増えるので、光量を増やせば電子が飛び出しそうです。

アインシュタインの天才的アイディア

そこに一石を投じたのが、かの相対性理論で有名なアルベルト・アインシュタインです!

アインシュタインは1905年に光量子仮説という仮説を自身の論文で導入しました。これは、光を粒子だと考えることで光電効果を綺麗に説明するというものです。この粒子を光子(光量子)と呼びます。

光子は以下のような性質を持ちます。

光子の性質

振動数 ν[Hz]\nu\,[\mathrm{Hz}] 、波長 λ[m]\lambda\,[\mathrm m] の光子は、

  • エネルギー:E=hν=hcλ [J]E=h\nu=\dfrac{hc}{\lambda}\ [\mathrm J]
  • 運動量:p=Ec=hλ [kgm/s]p=\dfrac Ec=\dfrac h{\lambda}\ [\mathrm{kg\cdot m/s}]

をもつ。

ただし、プランク定数 h6.626×1034 [Js]h\fallingdotseq 6.626\times 10^{-34}\ [\mathrm{J\cdot s}] 、光速 c [m/s]c\ [\mathrm{m/s}] を用いた。

波動についての基本式 c=νλc=\nu\lambda を用いていることに注意です。

つまり、光子は振動数 ν\nu に比例するエネルギーを持っており、質量がないのに運動量も持っているということです。

波でもあり粒子でもあるという考えはにわかには信じられませんが、この仮説は先ほどの光電効果の性質をとてもうまく説明できます。1つずつ見ていきましょう。

光量子仮説での説明

まず、

  1. 一定の振動数(限界振動数)を超えた光を当てると、すぐに電子が放出される。逆に、それ以下の振動数の光をどれだけ当てても電子は放出されない。

はどうでしょうか?

光子と1つと電子1つでエネルギーをやり取りする と考えると、この性質は自明になります。

電子は金属中の原子核に引き付けられています。つまり、この束縛を振り切るだけのエネルギーを光子からもらえれば、電子は金属から飛び出すことができます。光子がもつエネルギーは振動数に比例するので、振動数が一定の値を超えると、電子は飛び出すことができます。

具体的には、電子を飛び立たせるために必要な最小エネルギーである仕事関数 W[J]W\,[\mathrm J] を光子のもつエネルギーが超えていること、つまり

W<hνW< h\nu

が、電子が飛び出る条件となります。

仕事関数が最小エネルギーであると言ったのは、電子が金属のどこにいるかによって、金属から飛び出すのに必要なエネルギーが異なるからです。金属の表面ならば比較的少ないエネルギーで十分ですが、金属の深いところにいるならば、より大きなエネルギーが必要となります。この必要なエネルギーの最小値が仕事関数です。

電子が飛び出すギリギリの振動数を限界振動数と呼びますが、限界振動数 ν0\nu_0

hν0=W ν0=Whh\nu_0=W\quad\therefore\ \nu_0=\frac Wh

となります。

次に、

  1. 振動数の大きい光を当てると、飛び出す電子の運動エネルギーの最大値が大きくなるが、飛び出す電子数は変わらない。

はどうでしょうか?

電子が得られる運動エネルギーは、光子のエネルギーから、金属からの束縛を振り切るのに必要なエネルギーを引いたものになります。つまり、運動エネルギーの最大値は、光子のエネルギーから束縛を振り切るのに必要なエネルギーの最小値である仕事関数を引いたものです。

具体的には、電子の運動エネルギーの最大値を KmaxK_{\mathrm{max}} とすると、

Kmax=hνWK_{\mathrm{max}}=h\nu-W

が成り立ちます。振動数が大きくなれば KmaxK_{\mathrm{max}} も大きくなることは明白です。

ちなみに、飛び出す電子の速さの最大値を vmaxv_{\mathrm{max}} とすると、

Kmax=12mvmax2K_{\mathrm{max}}=\frac12mv_{\mathrm{max}}^2

が成立します。( mm は電子の質量です )

また、飛び出す電子の数は光子の数にともなって増えるはずです。振動数の大きさとは関係ありません。(もちろん限界振動数を超えている必要はあります。)

最後に、

  1. 一定の振動数を超えた光について、光量を増やすと飛び出す電子の量が増えるが、その運動エネルギーは変わらない。

について考えます。

これも明らかです。光量を増やすことは光子の数を増やすことに該当します。よって、飛び出す電子数は増えていきます。光子と1つと電子1つでエネルギーをやり取りすることを思い出してください。

運動エネルギーは光子の数とは全く関係ありませんね!

光電効果の例

光電効果を身近に感じられそうな例を紹介します。

箔検電器の箔が閉じる

はく検電器は電荷が溜まっているかどうかを調べられる装置です。詳細は以下の記事をご覧ください。

haku
箔検電器をシミュレーションしよう

負電荷が溜まった状態の箔検電器の上面の金属板に対して、紫外線などの振動数の高い光を当てると、箔が閉じるという現象を見ることができます。

これは、光電効果によって電子が飛び出していくことで、溜まっていた負電荷が放出されるためです。

正電荷が溜まっている場合は箔は閉じません。なぜだか分かりますか?

デスフラッシュ現象

デスフラッシュ現象とは、電子回路の基盤に対してカメラの強いフラッシュを当てると、全体の動作が停止してしまう現象のことです。

Raspberry Piラズベリー パイと呼ばれる、とても小さなコンピュータがあるのですが(よくラズパイと呼ばれます)、その基盤にフラッシュを当てるとシステム全体が落ちてしまうという不具合が話題になりました。

これも光電効果によるものです。フラッシュの光によってエネルギーを得た電子によって、回路中に意図しない電流が流れてしまうことでシステム全体が落ちてしまったというわけです。

このような現象を光起電力効果ひかりきでんりょくこうかと呼びます。正確には、半導体周りに光が当たることで光起電力という起電力が発生します。

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